2020年5月30日blog | リビングに機能と個性を与える造作家具

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現在進行中の物件、家具が搬入され、据付が始まっています。
この工程になると建築工事も大詰め感があります。

今回は造作家具(備え付け家具)にほんの少しご予算を頑張って頂く事で
インテリアとして一体感があり
機能的で個性的な空間になる一例を紹介したいと思います。

搬入されてきた幅64cm×高さ38cm×奥行き30cmの箱
部分的な形の変形はありますが、合計50個程あります。
なんかこの流れってビ〇ォーア〇ターの「この後一体どうなるのでしょう?」
みたいですね(笑)

勿体ぶるのが目的では無いので
完成予想のCGを掲載致します。
下の2枚です。

階段の回りに階段を覆う様にして棚をつくります。
搬入された四角の箱を30度ずつずらしながら、
積み重ねていき2階の床から3階の天井まで吹抜けを通して
連続させて固定致します。
箱が互いを支え合い、角度をもって積み重ねる事で揺れにも耐える様
形状を検討しました。
加えて、この箱は階段の転落防止にも寄与しています。

例えばこの様な棚を一体でつくるにはモノが大きすぎて建物に入りません。
何処かでジョイントするとなかなか綺麗に納まらない事も多いのです。

今回の様に単純な箱を積み重ねるやり方ですと、
搬入は数の多さの大変さはあるもののそもそも入らない等の心配はありません。

しかしながら、家具屋さんは据付に四苦八苦。
完成した時に整然と積み上げられたタワーの様な形になるので、
一個一個の箱の据え付けが自ずとシビアになります。
いい加減に付けて見上げた時ガタガタだと綺麗でないですからね。

言うは易しです。

私はただ見守るのみですが、
暑くなってきた昨今、
家具屋さんはそのシビアに応える様に
何度も微調整を重ねながら作業を行ってくれていました。

この収納タワーの横にはダイニングリビングの長辺につくられた長さ5mのベンチがあります。
タワーに本を収納し、手に取った本をベンチに腰掛け読む。
棚等の収納をつくる時、どの様なモノが置かれ、
どの様に使うかを想定する事はとても大切です。
本を収納するのであれば本を読むところまでを考え設計すると
とても機能的で居心地の良い空間になります。

ベンチは奥行き70cmとかなり深めに造ってあります。
通常の椅子と同じ40cm程度の奥行きのベンチですと、
ベンチとして座る用途に限定されると思います。
しかし、70cmあると、
足も上げて胡坐をかいたり、
座布団を敷いたり、
座っている後ろを跨いだり、
横になって居眠りしたり、
用途の幅は格段に広がります。

本棚もベンチも後から購入して置く事も出来ます。
ですが、ちょっとの工夫を取り入れる事で、
より機能的で個性的な空間とする事が出来るのです。

「家具のレイアウトを変える楽しみがなくなるのでは?」
なんて声も聞こえてきそうです。
確かにその考え方もあるかもしれません。
しかし、建築として造作しずっとそこに有り続ける事で、
20年後、30年後代えがたい愛着のある家具になる事も
あるのではないでしょうか。

住まわれる方のライフスタイルや趣向によって
より良い選択がされれば
きっと満足のいく住まいになると思います。

皆様の住まいづくりの一助となれば幸いです。



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