2019年9月23日blog | 収納は適材適所(分散型)か、大きな納戸(集中型)か

haikei

新築をご依頼の際、収納に対するご要望は殆どのお客様が持っています。
それは、現在のお住まいの使い勝手の悪さや収納量の少なさ等から、
自由に空間をつくれる新築に期待するものの一つなのだと認識しています。

様々な情報源からメリットデメリットを精査し、
今後の生活に向けての要望をお伝え頂きます。
その中でよく聞く内容として、
「使うところにそれぞれ収納を設ける分散型にしたい」
「一つの大きな納戸等を設けて収納する集中型にしたい」
と言う収納に対する2つの考え方を伺う事があります。

この2つに関しての考え方を書きたいと思います。

最初に腰を折る結論を言うと
この2つに「どちらが良い」「どちらが悪い」と言う事はありません。

と、言うのは、この2つはメリットデメリットを見るよりも
住まう人の生活習慣で決めた方が良いと思うのです。
また、新築を期に生活習慣を変えると言う方法もあるかもしれません。

生活習慣で決めるとはどういう事か?

これを答える前に「モノを収納する上で大事な事は何か?」
と言う問いへの答えが先に必要になります。

収納する上で大事な事は
「取り出し易く片付ける事」
だと私は考えています。

分散型にしろ集中型にしろこの「取り出し易さ」が欠けていると
初めは綺麗に収納出来たモノでもそのうち外に飛び出し机の上に出しっぱなしに、、、
なんて結果になってしまいます。
逆に取り出し易さが確保出来ていれば
次の使用の為にもきっちり決まった場所に片付ける様になります。
決まった場所に片付けられる様になると「モノを探す」と言うストレスが無くなります。
ストレスが無くなれば、毎回同じ場所に片付けるサイクルが生まれます。
片付けるサイクルとは習慣化です。

つまり
「生活習慣で決める」と言う事は
この片付けの習慣化を
「どの様な収納形態であればやり易いか」
を決める事なのです。

ここで、一つ疑問を持たれた方もいるはず。
「取り出し易さを基準にするのであれば分散して適材適所に収納する方が当然取り出し易いに決まっている」

実はそうとも言い切れません。
例えば、衣類やタオル類の収納について、
シャツやパンツは納戸、
タオルや下着は洗面室、
コート類は玄関付近、
と分散型であればこの様な収納方法が考えられます。
これを完璧に管理し習慣化出来るのであれば
この分散型も良いと言えます。
しかし、家族で共有認識を持てなかったり、それぞれの収納スペースでは
入り切らなくなる事態が起きた時、収納物は定位置から外れ
管理しきれないものとなってしまいます。
この場合「衣類・タオル類は全て納戸」と言うシンプルなルールにした方が
逆にストレスが軽減する事も考えられるのです。

これはたとえ階を跨ぐ手間が発生しても言えます。
2階建ての家で1階にLDK、2階に納戸があるとして、
家に帰ったら必ず2階の納戸に行き着替えてからLDKに行く。
分散型であればもっと効率よい動線を築けそうですが、
習慣化されていれば実はこの形式にストレスはそれ程ありません。
「いや、ストレス感じるよ」
と言う声が聞こえてきそうですが、
分散型で習慣化出来ていない場合の方が倍以上のストレスを感じるはずです。
それ程、「求めるモノ」がスムーズに出てこない、探さなければならない
と言う行為にはストレスがかかるものなのです。

「分散型」「集中型」と言う相反するタイプで考えを書いてみましたが、
実際の生活の中ではどちらかを選択すると言うよりは、
モノによって複合的に捉えるものだと思います。
先の衣類は分散型にするけど、書類は集中型にするとか。

まずは、
「取り出し易く片付ける」
を意識して収納方法を検討してみては如何でしょうか。
あなたの日常生活の収納ストレスが少しでも軽減する事を願っております。




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