2019年12月5日blog | 大きい砂利(砕石)を敷く。基礎の水はけ対策方法。

haikei

現在着工中のお宅で採用した基礎の防水対策について書きたいと思います。
少し専門的な内容になるかもしれませんが、
ちょっとの配慮で長持ちする住宅になるのでご紹介したいと思います。

現在の一般的な木造住宅の場合、基礎はベタ基礎か布基礎が主流となっています。
個人的な見方をすればベタ基礎が私を含め私の周りでも主流の工法として
採用されている様に思います。
(このブログではベタ基礎と布基礎の違いについては本題とそれるので
記載は避けたいと思います。
詳しく知りたい方はネット上で検索頂ければ幸いです。私のブログでも
いつか書きたい内容です)

ベタ基礎は耐圧盤と呼ばれる建物の外形をした15cm位の厚みの大きな
コンクリートの板と土台を置き柱を立てる為の立ち上がりで構成されています。
(下の写真)

kiso

耐圧盤と立ち上がりは一緒にコンクリートを打つのが難しい為、
コンクリート打設は耐圧盤で1回、
立ち上がりで1回、
と2回に分けて行うのが一般的な手法です。
その為耐圧盤と立ち上がりにはどうしてもコンクリートの打ち継ぎが発生します。
(上の写真の、コンクリートの下から15cm位のところでコンクリートの色が変わって線が入っているのがそれです)

この打ち継ぎから水が浸入する事があります。
昔、トンネルのコンクリートが剥落した事故があり、
コールドジョイントと言う言葉が有名になりましたね。
このコールドジョイントと同じで打ち継ぎ部は一体て打設された部分に比べ
密度が落ち、どうしても水を進入し易くさせてしまうのです。

その為、標準的なやり方として耐圧盤は地面より少し高くする施工方法をとります。
こうすれば地面の中にある場合よりも格段に水は進入しにくくなるからです。

しかし、今回の物件では、敢えて地面より下に耐圧盤をつくりました。
これは土間と地面をなるべく同じ高さにして、且つ、土間の下にも
断熱材を入れたかった為、耐圧盤を低くする必要があったからです。
土間を同じ高さにしたかったのは土間に自転車を楽に乗り入れられる様にする為です。

このご提案を採用するに当たりどう防水するかを検討する必要がありました。
結果として今回のご提案では2つの対策を施しています。
一つ目は、耐圧盤と立ち上がりの継ぎ目に止水措置を施す方法。
やり方としては、止水板(継ぎ目に鉄板を入れる方法)や
止水材(別々に打ったコンクリート同士を強固に結びつける接着剤みたいなもの)を
入れる方法があります。

二つ目は、基礎回りに砕石を敷き詰め、土より水はけを向上させる方法。
今回は基礎回りに砕石2号(かなり粒の大きな砕石)を敷き詰めました。
ちなみに砕石の大きさは、
2号→40~60mm
4号→20~40mm
5号→13~20mm
6号→5~13mm
7号→2.5~5mm
と呼び名が決められています。
kiso

砕石2号になるとかなり粗々しい印象になります。
粗い砕石にする事で更に水はけが良くなるのではと期待しています。

後は、地形的にこの建築地より東に行くとより低地になる緩やかな傾斜地だった事も
今回の基礎仕様を採用出来ると踏んだ要因の一つでもあります。
周辺から平らな敷地であったり、昔沼地だった様な敷地環境では
採用を見送っていたかもしれません。

木造住宅における水問題は一度被害に会うと解決が厄介です。
なるべく被害が少なくなる手段を講じた訳ですが、
個人的にはこの2号砕石の粗々しさが新鮮で、
今回のお宅に意匠としても合うのではないかと言う期待も持っています。

工事はまだまだ道のり序盤です。

建築には破ってはいけないルールがあります。
それは法律と言う世の中皆が守るべき絶対的なルールもありますが、
今回の様に設計者や施工者の采配に任されたルールもあります。

采配に任されたルールはそれぞれの設計者や施工者が正解をもっており
それは絶対的な正解でない事もあります。
私の解答を過剰と判断する方もいるかもしれませんし、
足りないと判断する方もいらっしゃるかもしれません。
建て主様が何より大切にするべきは、心配事は溜め込まず
設計者・施工者とよくコミュニケーションをとる事。
行きつくところはやはりここなのだと思います。

今回の事例が皆様のお役に立てれば幸いです。






静岡市の設計事務所:一級建築士事務所SAKAKI Atelier(サカキアトリエ)
当事務所の実績・提案はWorksをご参照下さい。
当事務所の住まいづくりに関する考え方はAbout home「住まいづくり大切にしたい11の事」をご参照下さい。
当事務所へお問い合わせの方はこちらからご連絡下さい。