2019年10月16日blog | 家を建てる時、皆が選んでいる依頼先は実は○○が多い?

haikei

昔の話になりますが、
ある知り合いの建築家の方に
「建築家は知名度がないと売れない。家を建てようと考えている人はまずハウスメーカーを選ぶ。
だから知名度を上げる手段を持たないと建築家は商売としては難しい」
と、言われた事があります。

大先輩であるその方の話に、
当時の私は「なるほど」と熱心に耳を傾けていました。

独立し、5年。
その時の発言は間違っているなと言う思いが生まれています。

今回は、
家を建てようと考えた時、業者選定にあたり、
どの様な行動が皆様にとって最良の選択肢となるのか
その一助になるデータのご紹介です。

先の発言の最初の間違いです。
「家を建てようと考えている人はまずハウスメーカーを選ぶ」
は新築着工数の業者別シェアのデータを見れば間違いは明らかです。
戸建てシェア、
ハウスメーカー(大手8社)・・・約18%
工務店・・・・・・・・・・・約78%
設計事務所・・・・・・・・・約4%
と言う統計があります。
資料元によって数字はまちまちかもしれませんが、
ハウスメーカーで20%を超えるデータはまず見た事がありません。

5人に1人が選べば十分先の発言は正しいと言えるのではないか?
と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、別ジャンルのメーカーの業界シェアを見てみると違いがわかります。

自動車メーカーシェア、
トヨタ・・・・・・45%
ホンダ・・・・・・12%
日産・・・・・・・12%
マツダ・・・・・・6%
この4社で75%、
スバル、スズキ等国内の主要メーカー10社程度で90%のシェアになります。

ビールメーカーシェア、
アサヒ・・・・・・38%
キリン・・・・・・33%
サントリー・・・・16%
サッポロ・・・・・12%
この4社で99%のシェアになります。

2つ例に挙げましたが、製造系の業界は特にこの様な傾向が顕著に見られます。
食料、飲料、たばこ、衣類、印刷等々、様々なジャンルを見てみるのも
面白いかもしれません。

脱線しましたが、2つの例に挙げた業界から見れば、
これだけ、他業界と同等のCMや広告を打っているにも関わらず
ハウスメーカーはシェアが20%にも満たないのです。
そして、現状の日本においては地域の工務店が最大のシェアを持っているのです。
但し、工務店は何百、何千社とありますのでそれらをシェアと呼ぶのかは疑問です。
要するに、住宅業界は
かなり幅広い選択肢があり、
かなり分散して選ばれているという事です。


もう一つ、「建築家は知名度がないと売れない」
これも半分は合っていて、半分は間違っている様に思います。
賞レースやメディア露出の多い知名度を獲得した設計事務所に
依頼が多いというのは確かにあります。
しかし、今はユーザー側からネット検索が出来ます。
知らない設計事務所でももしかしたら自分の琴線に触れるデザインを
見つける事が出来るかもしれません。
琴線に触れるデザインを提供してもらえるとすれば知名度は必要ないかもしれません。
この点においても依頼先は分散される傾向にあります。


法や制度が整備され耐震基準も底上げされています。
もはや「地震に強い」はハウスメーカーだけのものではありません。
逆に「デザインセンスなら建築家」も一概に言えません。
デザイン性の高い設計士がいるハウスメーカーや工務店もあります。
知名度だけでは推し量れない状況があると言う事も分かりました。

選択肢が多く自分にとってのベストを選ぶのは、
とても大変な作業なのかもしれません。
しかし、これだけ大きな買い物なのに選択肢が少ないのも納得しきれない
部分が出てくるのではないでしょうか。
選択肢の多さをプラスに捉え
幅広い視野で依頼先を選んでみては如何でしょうか。







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