2017年4月7日blog | 屋根の形が建物の印象を決める。屋根について深く考えた新規提案 その2

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昨日のブログで紹介したお住まいの続きです。
第2案は正方形に近い四角の建物に小さな長方形の玄関が付いている外形をしています。
建物の外形としてはとても単純な形と言えます。

屋根は建物正面から見た時Xの文字に見える様な形を考えました。
建物手前と奥で片流れ屋根が互い違いの勾配になっているつくりです。
屋根を互い違いに掛ける事で建物に奥行き感が生まれます。

正面から見える片流れ屋根の低い部分は納戸になっており、
天井の高さを1m80cm位まで下げています。
納戸と言う用途により天井を下げる事が出来た為、
屋根の片流れを低い高さで延ばす事が出来ました。
片流れの高い部分の下は寝室です。

正面から見て奥に見える片流れについては、
小さな長方形として取り付けてある玄関部分の上は、ご主人の秘密基地。
天井は低い方が秘密基地として居心地の良い空間になると考えました。
(どこかのハウスメーカーのCMみたいですね。笑)
正しく「狭いところが落ち着く」です。
その低い天井から屋根の勾配が上がっていき、子供部屋→廊下・トイレとなります。
屋根が一番高いところの下は廊下・トイレで、その上がロフトになっています。
子供部屋から廊下・トイレ上のロフトに上がれると言うつくりです。
片流れを互い違いにした事でこのロフトには正対して窓を設ける事が出来、
風の通りも良くなりました。

もの凄く単純な屋根にするのであれば、建物の奥も手前も同じ一枚の片流れに
するのが簡単なのですが、室内空間の用途を考えると今回の案の方が合理的と
言えるのです。

軒裏の面ですが(写真上から3枚目。屋根の裏側の茶色の板部分)、通常よくある
地面と平行でもなく、屋根の勾配と平行でもなく、地面と平行より少し外向きに
角度を付けて取り付けてみました。
建物のアクセントとしての意味合いもありますし、
軒をより深く見せる効果もあります。
(板の部分が広がるにつれ、実際に軒は深くしていますが、より強調されます)

「2枚の片流れを互い違いに掛ける」と言う、考え方としてはそれ程複雑ではないやり方でも、
建物の見え方としてはちょっと個性的になってきます。

勿論、ただ「こんな屋根が格好いいから」だけで、屋根を考える事は出来ません。
今回の様に片流れを互い違いにするのであれば、恐らくXの文字の交点に当たる部分には
柱が必要になってくるでしょう。※注1
その交点の部分はぞれぞれの片流れが重なり屋根の谷が出来ます。
そのままでは雨水が溜まってしまいます。
(今回の案では写真上から4枚目の様な形状にして谷をつくらない工夫をしています)
それぞれの片流れが重なる部分には外壁も見えてきます。
(写真上から2枚目。建物右上ロフトの窓が付いている壁を指しています)
その外壁の下には柱や梁、構造壁が必要になる場合もあります。

それらの妥当性を十分考慮した上で個性的な屋根は生まれるのです。

「敷地の形状が単純な四角だから、建物は単純な外観でも仕方がない」
「うちは間取り上、凝った外観は無理そうだから外観の拘りは諦めよう」
なんて考えているあなた。
まだまだ考えられる余地はあるかもしれません。
高い費用を投じて建てるお住まいです。
使い勝手を良くするのは勿論の事、来てくれたお客様やご近所の方々に
「素敵!」「格好良い!」なんて言って貰える方が嬉しくありませんか。

住宅を検討されているあなたの
ちょっとした参考材料になれば幸いです。


※注1 当事務所では実施設計の際、構造計算事務所により正確な構造計算を行って頂き、
    構造の骨組みを決定するという流れを基本としています。
    初回のプレゼンプランで構造計算事務所に依頼する事はありません。
    (別途費用相談の上、ご要望にお応えする事は可能です)
    初回のプレゼンプランでは、基本的な構造の基準を元に見込みで
    プランを作成致します。

※注2 今回ご紹介した案件については、お客様にご了解頂き本ブロクにて掲載しております。
    転用・転載による利用はご遠慮下さい。





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