2017年4月24日blog | 庭と建物の関係について。外に開くか、外を取り込むか。

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例えば、窓が何もない部屋にずっといる事で、何だか息苦しさを感じる事はありませんか?

法律的にも部屋にはある一定以上の窓を確保する事が定められています。
部屋から外の景色が見えた方が、解放感があって気持ち良いものですよね。

今回は部屋から窓を通して見える外との関係について書いてみたいと思います。
4/6、4/7の2回に分け書いたブログのお宅を例に挙げてみます。

前述したお客様は庭(外構)をとても大切に考えていらっしゃいます。
建物のプランとしても、庭に植わる樹木と調和がとれるデザインを心掛け提案致しました。
(画像1枚目、3枚目)

室内から庭を眺めた時の見え方もとても重要です。
考え無しに大きく開口を取ると、前の道路を通る人から室内が丸見えになってしまうかもしれません。
折角の自宅なのに、誰かに見られてる感じがするのは何とも居心地の悪いものです。

住宅で窓の配置や大きさを考える時、
この、「他人に見られたくないけど、解放感が欲しい」を上手くコントロールする必要があるのです。
そして、今回の例のお宅の2案は、窓の配置や大きさではなく樹木の配置と外構の塀で
コントロールのバランスをとると言う試みをしています。

具体的に見てみます。
第1案(画像1枚目、2枚目)は、道路から建物の距離を取りその間に樹木を沢山配置し、
室内を見えにくくすると言う案です。建物に入る時は、この樹木の中を抜けていきます。
「木々を感じながら家の中に入る」
を重要視しています。
室内から見た時、木々に奥行き感が生まれます。
しかしながら、よく見れば道路からの視線が入ってしまうと言う面もあります。
室内をある程度見辛くし、後は、通行する人がむやみやたらに覗かない、と言う、
暗黙のルールと言うか社会的な秩序に委ねます。

第2案(画像3枚目、4枚目)は、建物と道路の間に視線を遮る塀をつくり、塀の室内側に
木々を配置する案です。
この案ですと、木々は塀の中から飛び出している様な外観になります。
塀に囲われている部分は、外からは伺い知る事は出来ません。
そして、室内に入った時、プライベートの庭として存在感を持つ事になります。
「室内に入った時、サプライズ的に庭が見える」
を重視しています。
第1案に比べ、外からはより見えにくくなります。この案では、塀の高さ、素材、建物と塀の距離等が道路からの室内の見えにくさを決定します。
また、第1案より室内は閉鎖的な印象となります。「落ち着いている」と捉える事も出来るかもしれません。

第1案は、「大きな窓をつくって室内を開放的に見せる」
第2案は、「室内に屋外を取り込み演出的な空間にする」
と言える案だと思います。
両案ともそれぞれ長所短所があり、どちらが正解かは住む方のライフスタイルや
趣味趣向によって決定するものだと思います。

それぞれ違う価値観を元に作成した案ですが、
この両案に共通する提案の根源に、「カーテンに頼らない」と言う考えがあります。
勿論、カーテン類は何かしら付ける事になるとは思います。
それでも「人目を気にしてカーテンは閉めっぱなし」を避ける事は設計的な工夫で可能だと思っています。
そしてそれは、設計者として居心地良い空間をつくる上での必要な力量だとも思います。

皆様の家づくりの参考になれば幸いです。


※注 今回ご紹介した案件については、お客様にご了解頂き本ブロクにて掲載しております。
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