2019年9月30日blog | 建物の大きさの違いから見る間取りの特徴。参考になる間取りの見極め方

haikei

家を建てる時、
参考資料として住宅雑誌や間取りの本を購入し、
それらを眺めながら未来の我が家に思いを馳せる方も多いかと思います。

当事務所では現在、コンパクトな住宅と
とても大きな住宅に並行して関わっています。

そこでふと感じた、建物の大きさによる間取りの構成の違いについて
書きたいと思います。

例えば、30坪の住宅の間取りで気に入った要素があるから、
それをそのまま大きくして60坪の住宅にする、
逆に100坪の住宅で良い雰囲気の間取りがあったから
それをそのまま小さくして30坪の住宅にする。
このやり方は恐らく良い住まいにはなりません。

コンパクトな住宅にはコンパクトな住宅なりの、
大きい住宅には大きい住宅なりの間取りのつくり方があります。

それぞれの間取りの考え方を見ていきたいと思います。
コンパクトな住宅(25坪~35坪程度の住宅)
・小さくても良い部屋は最小化する。(例えば子供部屋は3帖で良い。寝室は4.5帖にする。浴室は0.75坪タイプにする。玄関は半帖にする。等々)
・用途を兼用する。(2人の子供の年の差が10歳あるので子供部屋1部屋にして使い回す。リビングダイニングを一体型にする。書斎と寝室を兼ねる。等々)
・廊下を極力少なくする。
・造り付け家具をつくりスペースを有効活用する。

大きな住宅(60坪以上の住宅)
・各部屋にゆとりを持たせる。
・用途別に部屋を設ける。(書斎専用の部屋。シアタールーム専用の部屋。ピアノ専用の部屋。等々)
・各部屋をつなぐ廊下をきっちり計画する。
・置き家具とその周りのゆとり寸法を考慮する。
・住宅の延床面積に見合った玄関の大きさにする。

等が考えられます。
この項目だけ見るとコンパクトな家は大きな家に比べ色々諦め無ければ
ならない様に感じた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし間取りの観点で見るとそうとも言えません。
大きな住宅の「各部屋をつなぐ廊下をきっちり計画する」これは、かなり経験が必要です。
つまりスムーズな動線計画ですね。
コンパクトな住宅は上記の要素を盛り込み検討していくと、
割と必然的にスムーズな動線になりがちです。
延床面積が増えると言う事は、移動距離が増えると言う事なので
動線が長くなります。そして、部屋数が増えれば
その分、廊下を介した人の往来が増える為、
人と人とのすれ違いまでを考慮して動線計画を行わなければ、
大きいけど使い勝手の悪い家になりかねないのです。

個人的な見解ですが、3~5人家族の住まいで見た場合、
コンパクトな住宅は30坪を切る面積になると、
大きな住宅では60坪を超える面積になると
間取りの設計の難易度が上がる様に感じます。

間取りの資料を参考にされる際は、
上記の項目を抑えた上で、
・我が家と同じ位の延床面積かどうか。
・我が家と同じ階数か。
・我が家と同じ建築面積か。
を絞り込みに利用しながら参考頂くと
間取りをよりリアルに組み立てられる様になるかと思います。


間取りを考える作業はとても楽しい作業です。
これを仕事にして15年以上経つ私でも、未だに間取りを考える時は
かなりワクワクしながらか考える事が多いです。
しかしとても難しいパズルの様な作業でもあります。
思い通りのAが出来たけど、Bが上手く納まらない。
参考にした間取りのAとBが気に入ったけど、AとBをミックスしても
使い勝手の良いCが生まれない。
こう言った事はよく出てくる課題です。
時には今まで入れたかった要素を全て捨てると言う英断も必要に
なる事もあるかもしれません。
勿論、間取りだけでない高さをも含む複雑なパズルです。

そんな難解なパズルだからこそ
それらを解決したグッとまとまった案が出来た時の
喜びは他に代え難いものがあります。

こう言った作業が好きで私のところに依頼される時
間取りを書かれて持ってこられるお客様もいらっしゃいます。
もしかしたらプロに見せる事を恥ずかしがって
見せて頂く機会を控えたお客様もいらっしゃったかもしれません。
当事務所の考えでは、こうした思いは是非見せて頂きたいと思っています。

そこから思いを読み取る力も
設計事務所としては必要な能力の一つなのではないでしょうか。

私も自邸の設計を経験し、我が身をもって間取りを生み出す大変さを学びました。
その経験と前職含めた本当に数多くのお客様の想いに触れる機会があったからこそ、
お客様の間取りを我が身に置き換えて考える力が身に付いた様に思います。

少々自分のハードルを上げる発言をしてしまいました。
でも、良いプランつくりますよ(笑)

住宅をお考えの方は一度お声掛け頂ければ幸いです。



静岡市の設計事務所:一級建築士事務所SAKAKI Atelier(サカキアトリエ)
当事務所の実績・提案はWorksをご参照下さい。
当事務所の住まいづくりに関する考え方はAbout home「住まいづくり大切にしたい11の事」をご参照下さい。
当事務所へお問い合わせの方はこちらからご連絡下さい。