2020年8月11日blog | 現場を見る事。実物を見て初めて分かる気付き

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 7月下旬に上棟式を行った現場が日々進行しています。

先日建て主様に来て頂き、
現場打ち合わせを行いました。

今回は、現場を建て主様と設計が一緒に見る事による
メリットを書いてみたいと思います。

着工する迄の間は、
紙面やモニタ、模型等を通して建物のイメージを共有し
仕様を決定していきます。
しかし、これらはどこまでいっても、
着工するまでは、いわば「絵に描いた餅」です。

着工して初めて実感を伴います。

設計者は経験上から大体のイメージは着工前に想像出来ているかもしれません。
しかし、その想像が建て主様と完全に一致しているかは別問題です。
その為にも、上棟からなるべく早い段階(今回の様に、下地位の段階)で
一度現場を一緒に見る事をお勧めいたします。
イメージをより明確に共有する事が出来る様になります。

また、現場を一緒に見る事でより良い方向に修正をする事が出来るかもしれません。
例えば今回の場合では、
設計「ここの梁はジョリパットで塗装になり、梁の下端はここまで下がります」
建て主「そうすると、ここから今見えている空は見えなくなるんですね。
    もう少し下端を高く出来ますか?」
設計「可能です。この梁の奥に庇が出てくるので、
   納まり上庇より少し下のここくらいまで高く出来ます」
建て主「そうなんですね。そこの庇って何のために付けましたっけ?」
設計「例えば、自転車を停めた場合、ここまで突っ込んで停めても濡れにくくする為です。
   皆さんの自転車を停めた場合1台ははみ出す勘定になりそうだったので」
建て主「なるほど。でも、その自転車はずっとあるものでもないですし、
    もし、ちょっとくらい濡れてもって割り切れるとしたら
    庇を無くしてもっと梁の下端を上げられますか?」
設計「そうですね。もしそこを割り切って頂けるのでしたら、現状見えている構造の梁
   ギリギリまで高くする事が出来ます」
建て主「その方が求めていた景色が得られそうです。その方向でお願い出来ますか?」
設計「承知致しました。そちらで変更致します」
少々長くなりましたが、
こんな感じのやり取りがありました。

当事者でないと分かりにくい内容かもしれませんが、
心理としてまとめると、
設計者は実用を気にして決めていたつくりでしたが、
建て主様にとってはそれよりももっと得難い景色を優先した、
と言った内容です。

これは現場で一緒に見なければわからない内容だったと思います。
また、壁が貼り終わった後ですと、
それはそれで、「こんなものかな」とやり過ごしてしまっていたかもしれません。
やり過ごしていても不幸になる訳ではないと思います。
しかし、事前に気付ける事でより良いものする事が出来るのであれば、
どんどんみて頂いた方が良いと個人的には思います。

ハウスメーカーや工務店によっては、
この様な途中変更が効かない場合もあります。
材料の手配や工程表が崩せない等の理由があるからです。

こう言った内容は各依頼先によって出来る出来ないがあるかと思います。
そして、設計事務所には直接の工事部隊である、
ハウスメーカー、工務店よりも変更を頼みやすいと言うメリットがあるかもしれません。
設計事務所としても、自身の事務所の実例が
より良いものになるのであれば、工事部隊が嫌がっても
押し通したいと言う心理を持っていたりもするからです。

今回の例はそれよりももっと前のタイミングで、
これから施工をする為、変更は大工さんも助かる内容でしたが、
よりご自身の理想の住まいに近づくと判断される発見をした時には、
迷わず相談される事をお勧め致します。

皆様にとってより良い住まいづくりの一助となれば幸いです。


現在着工中の物件はインスタグラムを使って進捗を公開しています。
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