2018年3月7日blog | 約半年ぶりの訪問。住んでいる家を見るのってとても大切

kaisyufukinuke

昨年改修工事を行ったお宅へ半年ぶりに訪問して来ました。
築60年のお宅の2階床を解体して大きな吹抜けにした改修です。

訪問の目的は仕上げに使用した塗装のヒビ割れチェック。
工事中丁寧に仕事していただいていても、季節を跨ぐ事で下地の木材は収縮膨張等の変形を繰り返し、仕上げ面にヒビ割れを生じさせる事があります。
この住宅でも、何ヶ所かヒビ割れを発見。
後日、工務店さんにも来て頂き必要に応じて補修をお願いする事になりました。

ヒビ割れをなるべく起こさない工夫として建築中に出来る事としては、
・粘性の高い塗料を使用する事。
・重ね塗りをする事。
・下地にクロスを貼る事。
・・・

今回はEP塗装と言う塗装を使用しています。仕上げ塗装としてはポピュラーな方かと思います。
色や艶も細かく選べるのが意匠を考える設計者には良いアイテムです。
EP塗装を用いてヒビ割れをなるべく減らす手段として、石膏ボードに一旦クロスを貼ってその上に塗装すると言う方法があります。
しかし当然ながら、クロス+塗装となるので相応のコストがかかります。
コストとの葛藤からクロスはせず施工しました。
設計事務所や工務店によってこの辺りは是非があるかもしれません。
工事前にお施主様には説明を行い、工務店さんも覚悟してくれていたので
「そろそろチェックしないとですね」
と言う姿勢で対応してくれた工務店さんには有り難く思うところです。

ところで、個人的に見ておきたい、と言うよりは確認しておきたい点がもう1点。
それは寒さ対策です。

暑さ寒さに敏感な方はこの空間を見て
「寒そう~」
と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
床暖房は入れていません。基本的な空調はエアコンのみでの計画でした。

人は概ね冬場で15度を越えてくると温かさを感じるそうです。
しかしながら、寒く感じる、暑く感じる温度には個人差があり、日ごろの生活スタイルからも相対的に影響を受けたりします。
昨今、快適な暮らしを提案する為、この空調対策は必須のものとして設計事務所、工務店、ハウスメーカーは取り組んでいる様に思います。国の省エネ基準としても高い性能を求められる様になってきています。
勿論、それらに対応する断熱性能は取り入れています。

そんな中での今回の計画。
配慮不足ではなかったか。
もっと万全となる対策を強く提案すべきだったか。
逆に過剰な設備投資とならないか。
思うところは色々あります。

自分の中で様々な葛藤を抱えておりましたが、
住まい手さんからは「とても快適」とのお言葉を頂きました。
個人的にも心地よい温かさを感じました。

大きい空間では空気を温めたり、冷ましたりするのに相当の時間を要します。
エアコンの効率にも関わってきます。
とはいえ、視覚的な開放感だったりを求めるのも人間性です。
空調の効率を最重視して6畳の部屋だけの間取りをつくってしまっては息が詰まってしまいます。

私個人としては、広がりある気持ちの良い空間づくりが好みなのですが、
相対する空気環境問題にどう対応するか、日々想いを巡らせているところです。
今回のお宅はそんな想いに、
「もっと大胆に計画しても良いのでは」と、
勇気を貰った様な結果を得られた一件でした。




一級建築士事務所SAKAKI Atelier(サカキアトリエ)
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