2019年9月11日blog | 結論。やっぱり土間は広い方が良い

haikei内観玄関正面domadoma

当事務所の提案を振り返ると玄関土間を広くしたり奥行きをとったものが多く見られます
自宅兼事務所の私の家自体も広めに土間を設けています。
(当事務所の実例はこちらを参照下さい→http://sakaki-atelier.net/works/office-interior/)

土間を広くするメリットはいくつかあります。
・靴の脱ぎ履き以外の別の用途に使える。
・靴以外の別の「モノ」(例えば自転車とか)を置く事が出来る。
・玄関ドアを開けた時に視覚的な広さを感じる。
・空間的なゆとりを感じる。
・土間からフロアへのバリアフリー対策がし易くなる。
などが考えられます。

しかし、これらのメリットの中で何と言っても
・空間的なゆとりを感じる。
が一番大きなメリットだと思っています。

ただの心理的メリットの様ですが、実はこれがその家を印象付けるかなり大きな要因になっています。
例えば、
「LDKの天井は高くしたい」
と言うご要望をお持ちの方は多くいらっしゃると思います。
この「天井を高くしたい」は何の為でしょう?
それは「心理的な空間のゆとり」を得る為です。
リビングやダイニングでは殆どが座ったり寝そべったりして生活するのにも関わらず、
天井は高くしたいのです。

「家は機能的が第一」と思っていても意外に天井を高くしたい要望をお持ちの方は多くいらっしゃいます。
それだけ人は心理的なゆとりを実は大切に思っているのです。

この心理的なゆとりが玄関では土間の面積によって効果を得る事が出来ると考えています。
左の写真やCGは過去に当事務所で提案したものですが、どれも土間を広くしたり、
奥行きを取る事でゆとりを感じる空間にしています。

「大きい家だったら可能だと思うけど。。」
とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、
写真やCGの住宅はどれも延床面積約30坪位のお宅です。
土間の面積確保は工夫次第で比較的実現可能な要素だと思っています。

では心理的ゆとりを得る広さとはどれくらいの広さなのか?
私の経験から見ると、戸建て住宅で玄関土間は1.5帖~2帖位が多い様に感じます。
その平均値からすると心理的ゆとりは、3帖以上あると感じる様になるのではないでしょうか。
更に横幅よりも奥行きに面積を取ると大きい効果が得られます。
人は知らず知らずのうちに「平均的な大きさ」と言うものを感覚的に身に付けてしまっています。
(それが玄関で言うと1.5帖~2帖です)
その平均的な広さを少し逸脱するだけで印象は操作する事が出来るのです。
建築ではこの逸脱をよく「スケールアウト」すると言います。

1帖分スケールアウトするとゆとりを感じる事が出来るのです。
畳1帖分であれば、廊下を上手く省略したりすれば確保出来る面積だと思います。

昔の民家は農具を置いたり、火事場を設けたりする為、
今よりはるかに広い面積の土間がありました。

技術が向上し、それらの土間はどんどん面積が縮小され、
現在のお宅では1畳程度の土間の家なども見られる様になりました。
しかしこれらは機能を追求した結果であり、心理面の考慮はありません。

家は生活する場所であると同時に、外から帰った時の癒しの場所でもあります。
その第1歩の入口である玄関土間に心理的ゆとりがあると言うのは大事な事ではないでしょうか?

技術革新により狭くなっていった玄関土間ですが、掃除ロボット等更なる技術革新により土間を清潔に保つ事が楽に可能になるのであれば土間を広くとる事もし易くなるかもしれません。
もしかしたら欧米の様に土足リビングが良い人だって出てくるかもしれません。
(これについては私は靴を脱ぎたい派なのですが。。)
リビングまで土間にした空間は、より介護がし易いバリアフリー対応した空間とも言えます。

「心理的ゆとり」があくまで主軸で土間空間について書きましたが、
将来を見据えたメリットもありそうです。



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