2017年3月21日blog | CGが伝えるリアリティ。”知りたい”を的確に伝える為に

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随分前のブログになりますが、当事務所のホームページで、CGのリアリティさが建築デザインにおいて事前のイメージ共有に有効なツールだと紹介致しました。
(くわしくはblog | CGが伝えるリアリティ。あなたの不安を解消します。を参照)
当事務所では今やデザイン提案には必須のツールだと言えます。
しかしながら、打ち合わせで使用する際には注意しなければならない点がある事をお伝えしなければなりません。

これは、提案する側は勿論認識しておくべき事ですし、提案を受けるあなたも知っておいて損のない内容です。
夢の住まい(建物)が建った後の「こんなはずじゃなかった」を未然に防ぐ事にも繋がります。

それは、
「細かい色打ち合わせや素材打ち合わせには適さないツールである」
と言う事です。

「それを見たいから作って欲しいのに」
と言われる方もいらっしゃるかもしれません。

ここで申し上げたいのは「細かい」と言う点です。
例えば、
「外壁の素材をタイルのブラウンかグレーかで迷っている」
「板張りの黒塗装か木肌色で迷っている」
と、言う場合には、CGは全体の雰囲気を確認するには分かり易く、良いツールだと思います。
(サンプル1の様に見比べるケース)

しかし、
「タイルのミディアムブラウンかダークブラウンで迷っている」
「板張りの黒かグレーで迷っている」
と言った微妙な差異を見比べる場合には適さないのです。(サンプル2の様に見比べるケース)

何故かと言うと、
CGは素材・色、そのものズバリを再現出来ない」
からです。

当事務所で採用しているCGソフトも他のCGソフトでも、外壁なら外壁に使う素材(テクスチャと言います)のデータを保有しています。当事務所のCGソフトは実物の写真画像もテクスチャに出来るので、インターネットから木目や石目の素材を検索ダウンロードしテクスチャとして使用したりしています。
これらの利用により、CGの外壁に使用しているテクスチャは、画像検索したあるメーカーの本物のタイルの写真画像だったりする事はよくある事なのです。

その写真画像をCGに取り込み外壁のテクスチャにすると、写真画像はパッチワークの様に外壁面に連続して並べて張り付けられます。
ここでまず色の面積効果が起こり、色味が変化します。具体的に言えば、部分的に見る写真サンプルより思っていた以上に明るく鮮やかな色に感じるはずです。人間の目は不思議なもので、実態のないモニタ上のCGでもこの現象は起こる様です。
そして、CGパースをリアルにする為、太陽光を当て、影を付けます。ここでも張り付けられたテクスチャは色味を変化させます。具体的には、太陽光を受ける面は黄色味が増し、影の面はグレーが強くなります。
更に、それを表示しているモニタの種類・設定によっても色味は変わります。
更に更には、紙に出力すると、紙の種類、インクの種類等によっても色に違いは出てきます。

唯一無二のはずのメーカーで決められた品番のタイルが、これらが原因で全く違った印象を与えてしまう事がある訳です。
(サンプル3はメーカーのテクスチャを使用し失敗した例。パッチワークの様に貼り付けられた為、規則的な柄になってしまっている。本当はもっと自然なランダムなレンガに見せたい)

私は、CGでデザイン提案をする際に、これらの事を考慮して、色を補正し、それっぽく見せる様にして作成しています。これは私の経験と勘で行っている操作ですが、この方がよりリアルに感じるものが出来ると感じています。そして、打ち合わせの際には実物サンプル、カタログ等、より実体に近いものも用意するのは必須だと考えています。

将来、自分の理想とする住宅(建築)を手に入れたいとお考えのあなたにアドバイスするとすれば、
C
Gは「想像を膨らませ易くするツール」
だと考えて頂きたいと言う点です。

建物の空間の大きさ、屋根の勾配の雰囲気、階段の形、、、これらはCGを使う事によってほぼ、実物と同じ見た目を表す事が出来ます。
例えば、「打ち合わせで屋根の勾配が変わった点を再度確認頂く」等にはより間違いの無いツールだと思います。

しかし、念を押す様ですが、
「もう少し明るい色味を見てみたい、もう少し赤味を入れたい」
等の再確認には適さないツールなのです。

CG提案を覚えて以来、私の建築デザインには欠かせないツールになりました。恐らく一生付き合って行くであろうツールだとも言えます。(大げさ?笑)
しかし使用に当たっては思うところも多々あります。
また機会があればCGに関する記事を書きたいと思います。

少々ネガティブな内容を含みましたが、
皆様の失敗しない住まいづくり、家づくり、ものづくりの一助になれば幸いです。




一級建築士事務所SAKAKI Atelier(サカキアトリエ)
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