層の格子

層の格子

静岡市清水区 用途:専用住宅 部分改修
改修面積:70.61㎡
設計期間:2021年9月~2022年4月 工事期間:2022年5月~2022年9月
写真:橘 薫

多様な格子による境界の再構成

築100年、古民家の部分リノベーションです。同一敷地内に築100年の古民家と築60年の母屋が連結されて建っています。母屋にあるLDKはそのまま利用し、古民家側の約半分の面積を使い、寝室、来客間、仏間、トイレ、脱衣洗面、浴室を新たに構成しました。古民家ならではのダイナミックな小屋組みを生かし、屋根勾配の約半分の勾配で勾配天井としました。各室はホールを兼用した来客間によって繋がります。各室の境界となる引き戸や仕切りはなるべく既存の障子や格子戸等を使用しました。古民家の引き戸の多くは格子状にデザインされています。それは夏には風を通す簀戸であり、冬は逆に風を遮る障子であったりします。多様な格子を再構築された空間の境界に生かし、建具としての用途を変えながら、現代のデザインに一新するのではなく、建物の素材を生かした「再利用による更新」を検討しました。リフォームされた新築的空間ではなく、記憶を残した更新による暮らしを楽しんでもらえればと考えています。