螺旋×shelf

shelf

静岡市清水区 用途:個人住宅 階数:3階 構造:木造在来工法
敷地面積:90.07㎡ 建築面積:41.80㎡ 
延床面積:103.98㎡(1階:35.79㎡ 2階:36.21㎡ 3階:31.98㎡)
設計期間:2018年8月~2019年9月
工事期間:2019年10月~2020年6月
写真:橘 薫

螺旋がもたらす豊かな空間

夫婦2人+子供2人の為の住まい。駅より徒歩10分程度と恵まれた立地条件にあります。敷地は27坪、建蔽率60%ですが、駐車計画を考えると10坪ちょっとが建築出来る面積の限度になります。家族4人で居住する為に必要な延べ床面積の最低が25坪~30坪程度と想定すると、10坪を3層(3階建て)にする事がこの敷地の計画に対して自然な流れだと判断しました。各階10坪、そのうち、1坪強は階段に必要です。空間をなるべく広く見せる為には、階段を壁で塞ぐのではなく視線を通す事の出来る形状が有効だと考えました。また、各階の居室は用途に応じて天井の高さを変えたいと考え、各階の移動で段数が変わっても間取りへの対応が容易な螺旋階段を選択する事にしました。一方で、建て主様より、「カフェと言うより喫茶店」「カルディの様な見せる収納」と言う要望を頂きました。「カルディ」はチェーン店コーヒーファームカルディです。これらからインテリアの色味のイメージが出来上がっていきます。色味の他にカルディや喫茶店らしさとして曲線の利用が考えられました。この「曲線」の表現が螺旋階段と結び付きました。螺旋階段にオープンシェルフを巻き付ける事で曲面をモチーフにした収納を作成しました。曲面は四角よりスペースを必要とします。四角い建物に曲線を入れる事は本来合理的ではありませんが、先の螺旋階段の採用とそれに巻き付ける発想から合理性も生まれました。螺旋階段に巻き付ける事で棚は両面から使える様になります。また転落防止にも役立ちます。間取りは、1階に洗面・トイレ・浴室と和室、広い土間を設けました。2階はLDKとトイレ、3階はフリースペースと寝室と言った構成です。各階は間仕切りで閉じず、家の象徴となった螺旋階段とダイレクトに繋がる間取りとし廊下を排除しています。これらの空間づくりにより、螺旋階段が通路だけでない各室と緩く繋がった新たな居所となりました。限られたスペースでも居所を多様にした暮らしが豊かになる空間づくりを目指しました。



Media 
・雑誌「HOUSING」2021年10月号にて事例紹介
・建築家ポータルサイト『KLASIC』紹介ページ
 →コンパクトなのにゆとりある空間の秘密は 螺旋階段と個性的な大容量収納 | 建築家ポータルサイト KLASIC(クラシック)
・HOUSTOおウチの収納.com/紹介ページ
 →https://uchishu.com/learn/aesthetics/architect073/