2018年5月22日blog | 子供部屋の確保について。用途を限らない有効な使い方

for children

「2人目の子供が生まれたからそろそろ住宅購入を」
と考える人はまだまだ沢山いらっしゃいます。
新婚時2人で住まわれていた住まいが家族4人になるのですから、ごく当然と言えば当然の事です。

例えば、夫(40歳)+妻(36歳)+子供2人(女8歳、男1歳)の4人家族が新築購入を考えたとしましょう。
お子様が2人いらっしゃる為、子供部屋6畳間2室を要望されました。
そして4畳半でも良いので和室も欲しい、
リビングには3人掛けのソファを置いて、
ダイニングテーブルはたまの来客の事も考えて6人掛けのテーブルを用意したい。
こう言った諸々要望がありました。
土地は40坪の土地、予算から考えて建物は30坪前後2階建に抑えたい。

これら条件を整理し、私達設計者はプランづくりを始めます。
プラン用紙を使ってあーでもない、こーでもないといくつもプランを練り回します。
(これが設計の楽しいところの一つなのですが、それはまた別の話として)

今回はそのプランニングに入る前に、
それら所要室に一体どれくらいの面積が必要なのか、
単純な計算をしてみたいと思います。

・玄関2畳
・LDK20畳
・和室4.5畳+収納1畳=5.5畳
・脱衣洗面所2畳+浴室2畳=4畳
・トイレ1畳×2=2畳
・夫婦寝室8畳+ウォークインクローゼット3畳=11畳
・子供部屋6畳×2=12畳
・各部屋を繋ぐ廊下・階段・収納等9畳(30坪の約15%として計算)
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・合計65.5畳(32.75坪)

単純に所要室の大きさを足していくと30坪では納まらない事が分かりました。
私達設計者はこれらを最初の段階で大雑把に目算し、プランを作成していきます。

この単純計算ではオーバーしてしまう要望を
設計的アイデアで解決しながら夢を叶えていく事も
醍醐味の一つとも言えるのですが、
より豊かに暮らす為のアイデアとして、
一つ提案をしたいと思います。

この新築住宅は2018年現在で建てれば、
恐らく50年~100年は物理的に耐えられる建物にする事が出来ます。
(未曾有の大地震や津波など天災についてはまた別問題としてもらえると有り難いです。。。)
その中で子供部屋が必要となる時期は一体何年に当たるでしょう。
各ご家庭の教育方針もあるかと思いますが、
短いご家庭で中学高校の6年間、
長いご家庭でも10歳から25歳の15年間位ではないでしょうか。
住宅寿命からすればかなり短い期間と言えます。

ご夫婦はと言うと一生ものとして住宅購入をする訳ですから、
夫はこれから先約40年、
奥様は約50年この家で暮らし続ける事になります。
(日本の平均寿命を参考に概算しています)

住宅寿命の1/3にも満たない期間しか使われない子供部屋が
建物の中で12畳も占拠し続けるのはもったいないと思いませんか。

勿論、ある時期必ず必要になるのも事実ですが、
子供部屋が子供部屋のまま終わらない工夫があっても良いのではないかと思うのです。
例えば子供が独立した後、夫婦別室にするのも一つの方法です。それでも一部屋余りますね。
夫婦それぞれの趣味部屋とするのもいいかもしれません。
子供部屋の床を外して1階のリビングに吹き抜けを設ける事が出来るかもしれません。
今回は7歳差の姉弟の設定で考えました。
この姉弟であれば子供部屋は一つにして入れ替わりで使用すると言う考えもあるかもしれません。
もしかしたら、和室を一時期子供部屋として使用すれば部屋数は少なく済むのかもしれません。

余分になる事をきっちり想定して最初の段階からプランを考えられれば、
LDKや趣味室等の他のスペースにゆとりを持たせる事が出来るかもしれませんし、
そこまで考えたプランの方が満足度の高い住宅が出来ると思うのです。

最近では、共用スペース(ダイニング・リビング等)で勉強した子供の成績が伸びると言う統計もあるそうです。
例えば、子供部屋をなるべく小さくして家族共用のスタディスペースを設けても良いかもしれませんね。
(これは実際、何度か提案した事があります)

ついつい住宅を建てる時、現状を見て判断してしまいがちですが、
柔軟に考えられるところは柔軟に考え、40年後、
「建てて良かった!」
と思える住まいになればと願うばかりです。

私個人の主観も入った内容ではありますが、皆さまの住まいづくりにおけるデザインの参考になれば幸いです。



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