解体工事が終わり、地鎮祭を経て新築工事が着工しました。
建て替え工事の場合によくあるケースですが、
解体工事完了後に、ドキドキしながら待つのが地盤調査の結果です。
更地の場合は計画予定の箇所に、事前に地盤調査を入れて、地盤改良が発生するか否かの
判定を出した上で計画を立てる事が出来ます。
地盤改良はひどい時で100万単位の費用負担が発生しますので、
可能な限り早いうちに折り込みたい内容です。
しかしながら、建て替えの場合、既存の建物が建っている等の理由から
調査を入れられないケースが多くあるのです。
今回もそのケースでした。
そして、、、
残念ながら、今回は深さ約6m迄に軟弱な地盤の層があり地盤の改良工事が必要となりました。
住宅規模における地盤改良でポピュラーなものと言えば、
表層改良:地盤面から1.5~2.0m程度までをコンクリートの岩盤として建物を支持する方法
柱状改良:地盤面から6.0~8.0m程度までにコンクリートの柱をつくり建物を支持する方法
鋼管杭:地盤面から8.0m以上の深さが軟弱地盤の場合、鋼管の鉄柱を固い層迄突き刺して支持する方法
この3つが挙げられます。
私も漏れず地盤の状態によって、この3つを使い分ける事を検討していました。
しかしこの3つの改良工事が最善の策かと言えば、そうとも言い切れません。
この選択肢からすれば、今回の敷地では柱状改良と言う事になります。
柱状改良の問題点としては六価クロムの発生が挙げられます。
六価クロムは発がん性物質です。
全ての地盤においてと言う訳ではありませんが、地盤のある地質において
この六価クロムの発生が認められるそうです。
※六価クロムの抑制剤を注入する等の対策方法もありますが、ここでの細かい話は割愛します。
お施主様も将来、自身のお子様にいずれこの土地を譲ります。
そのお子様も自身の子供に。。。
「永い未来に渡って使い続ける土地をなるべくいじめない方法が無いか」
と限られた時間の中、最良の改良方法の検討を始めました。
結果としてコンクリートによる柱状改良以外の地盤改良方法がいくつか候補に挙がりました。
そして、今回採用した方法は、
間伐材を利用した改良方法です。
間伐材は、よく聞く森で間引かれた木の事です。
間伐材を杭にして固い地盤まで差し込んで建物を支持する方法を取りました。
材料的にも比較的ローコストで、もともと自然素材なので環境への負荷も少ない素材です。
直径600mmのコンクリートの柱状をつくるより
直径140mmの木杭を埋め込む方が施工も遥かに簡単です。
実際、2日間で予定していた改良工事はほぼ半日で完了しました。
施工後の杭の頭が1枚目の写真です。(銀色の丸の部分)
1本が私の靴程度の大きさです。
この写真を掲載したのは、思いのほか施工が早すぎて、杭を打ち込む作業を
チェックしに行くつもりが全て打ち込み終わっていた為で、
埋まっている杭しか撮る事が出来なかったと言うのが理由です。不覚。。。
工程の流れや竣工迄の納期もあり、早く進める事ばかりに考えが及んでいた節がありましたが、
お施主様の想いを汲み取り、少しだけ立ち止まって検討した事で、
より良い方法に行きついた様に思います。
とても良い勉強にもなりました。
少し工程がずれましたが、杭工事が早く終わり、少し巻き返して基礎工事が着工しました。
台風も近づいておりますが安全に気を付けて進めて行きたいと思います。
より良い住まいの完成を目指して、
工事はまだまだ序盤です。
一級建築士事務所SAKAKI Atelier(サカキアトリエ)
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