現在進めている3階建が棟上げされました。
規模が小さい狭小住宅は狭小住宅ならではの難しさがあります。
今回は現在着工中の物件の進捗を紹介しながら
敷地が狭い場合の工事における注意点等を書いていければと思います。
敷地が狭い場合、建物は上へと伸びます。
ごく一般的な住宅を例に考えると2階建てから3階建てになります。
その分レッカーは高く資材を吊る必要が出てきます。
一方で敷地が狭い環境は市街地である場合が多く、
空中に電線等の支線が張り巡らされている場合がほとんどです。
(この意味でも無電柱化して地中埋設して欲しいですね)
つまり、狭い敷地環境で空中に支線が張り巡らされている中、
レッカーを据付、クレーンを上げる必要があるのです。
幸い、このお宅の敷地に接する道路は歩道がついており
そこも利用させて頂き工事を進める事が出来ました。
(歩道が無い、道路が狭い、等の環境の方は道路を通行止めにする必要が
ある場合もあります)
工務店さんに尽力頂き、工事は進みます。
※左写真は上から下に向かって工事が進んでいる様子です。
この物件では2階にLDKとバルコニーと言う広い空間を確保しています。
その為、1階より2階が張り出している箇所があります。
2階が張り出すと言う事は、その分、1階をより頑丈にする必要があると言う事です。
1階は私の目から見ても一般的な住宅よりかなり頑丈に見えるつくりになりました。
(勿論、構造計算をした上でです)
頑丈なつくりになると言う事は、
一本一本の構造材が「大きく重い」と言い換える事が出来るかと思います。
この点で、大工さん達には通常よりご苦労をお掛け致しました。
また、このお宅では2階が張り出しているだけでなく1階が斜めの壁になっています。
この点においても構造をより複雑にし、
大工さん達には更なるご苦労をお掛けしたと言う訳です。
工務店さんの監督からは、
「半日でここまでしか進まない現場ってあまり無いですよ」
なんて言葉も。
それでも建て主様と私で絵にかいた空間を実現する為に、
試行錯誤して取り組んでくれる姿には感謝を覚えます。
そして、もう一つの難題。鉄骨の螺旋階段です。
今回、1階から3階までの通しの螺旋階段を採用しました。
通常鉄骨階段は、木造の骨組みが組み上がった後、
屋根を貼る前にクレーンで上から降ろします。
しかし、3階建てで3階まで通しの階段となると
クレーンを相当な高さまで上げなくてはなりません。
その為、この工事では、
1階の木造の骨組みを組み、
階段を入れて、
2,3階を組む、
と言う手順を取りました。
このやり方をするには、資材を効率よく現場に入れなくてはなりません。
工務店さんには頭が下がります。
この後、2階にLDK、3階に寝室と2,3階は比較的シンプルな一つの空間となっている為、
1階が終わった後は概ねスムーズに進んだようです。
棟上げは大勢の大工さんを一度に入れて、一日で屋根まで完成させるのが
一般的な住宅の手法です。
但し、狭小では人を大勢投入しづらいと言う問題があります。
人が多くても手が余ってしまうのです。
そんな状況も相まって、このお宅では2日間に渡っての棟上げ作業となりました。
棟上げが終わった後、3階から綺麗な夕日を眺めながら、
図面や数字で出した答えだけでは実現出来ない課題があると
改めて思い知らされた2日間でした。
今回の事例が内容によってはコストUPにつながる場合もございます。
皆様の家づくりの参考にして頂けたら幸いです。
静岡市の設計事務所:一級建築士事務所SAKAKI Atelier(サカキアトリエ)
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