壁や天井に曲線のデザインを入れて少し柔らかいイメージをつくりたい。
ピシッとした箱よりも少しアンティークな雰囲気にしたい。
そんな要望をお持ちの方もいらっしゃると思います。
今回は曲線や曲面を使ったデザインについてご紹介致します。
仕上がりだけ見れば直角のデザイン、曲線のデザイン、これだけの違いかもしれません。
しかし、その仕上がりの違いの裏にはふた手間以上の大工さんの
手間が必要となります。
一言で曲線のデザインと言っても、手間の掛け方はその曲線の半径によって
全然異なります。
例えば、一番上の写真。
天井と壁の境目につくられている曲線(Rと言います)は半径150mmです。
そしてその壁の先はRの垂れ壁となっていますが、この先っぽは60mmです。
この2つのR、木の色味が違います。
これは150mmの方は曲げ合板と言う通常の合板より曲げやすい合板を用いており、
60mmの方は角材を削り出してRをつくっている為、
そもそも違う部材、違う材料を使用しています。
60mmの方を曲げ合板でやるにはRが小さ過ぎますし、
150mmのRを角材から削るには最低150mm角の角材から
沢山のロスを出して削り出す必要があります。
適材適所でやり方を変える必要があると言う事です。
設計士はパソコン上で、
「R60」
とかをキーボードで入力し、線を描くだけで図面作成自体
それ程手間ひまかかりませんが、
それを形にする大工さんは通常の直角の壁・天井に比べて
かなりの手間が増えるのです。
それでもより良い空間づくりの為、
色んな知恵を絞りながら
前向きに協力頂いている大工さんには頭が下がります。
現場に足繁く通ってこうした下地の段階を見る事で、
図面の線の意味をしっかり理解し今後に繋げていく事が出来る様になります。
今回、建て主様に設計段階でご要望を伺った際、
「カフェと言うより喫茶店」
と言ったイメージを頂きました。
喫茶店ってどんなイメージだろう?
Webで「喫茶店 内装」と検索してみます。
「カフェ」で検索するよりどことなくレトロな雰囲気の
空間が多くヒットします。
その後、建て主様に具体的に好きな店舗等をお伺いすると、
やはり今風のスタバと言うよりは
レトロ感あるイメージのお店を紹介頂きました。
そのレトロ感を印象付けるのは機械でまっすぐに製材されたものではなく、
手づくり感なのではないかと考え、
手づくり感を出すためにRをデザインに取り入れたと言う訳です。
手間はかかる作業ですが、
この先、何十年と住まい続ける家です。
そこに手間が掛った部分があるって、
特別な感じがして良いですよね。
余談ですが、2枚目の写真のRとRを直交させるところや
3枚目の半径が分からないR等は更に手間が増します。
図面を形にするって改めて凄い事です。
こちらの住まいでは洗面所の天井にもRを使っています。
その事を書いた記事がこちら
→http://sakaki-atelier.net/news/blog-%e5%a4%a9%e4%ba%95%e3%82%92%e3%83%87%e3%82%b6%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%81%99%e3%82%8b%e3%80%82%e9%96%93%e5%8f%96%e3%82%8a%e5%9b%b3%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%af%e8%a6%8b%e3%81%88%e3%81%aa%e3%81%84/
是非ご一読頂ければ嬉しく思います。
皆様の住まいづくりの一助となりましたら幸いです。
静岡市の設計事務所:一級建築士事務所SAKAKI Atelier(サカキアトリエ)
当事務所の実績・提案はWorksをご参照下さい。
当事務所の住まいづくりに関する考え方はAbout home「住まいづくり大切にしたい11の事」をご参照下さい。
当事務所へお問い合わせの方はこちらからご連絡下さい。